2004.4〜2004.9          
9月24日 小谷
『現代ビジネス学科開設』
   昭和63年に四日市市の強力なバックアップにより、公私協力型方式で経済学部(経済学科・経営学科)の単科大学として開学した本学ですが、平成9年には環境情報学部(環境情報学科)、平成13年には総合政策学部(総合政策学科)、平成16年に環境情報学部にメディアコミュニケーション学科を増設し3学部5学科を擁する大学となり、三重県下最大規模の私立大学となり今日に至っています。さらに総合大学をめざし平成17年4月に経済学部に現代ビジネス学科を増設します。昨今の受験動向は、就職の氷河期から実学志向の学部学科への受験志向となっており、本学も資格取得を目指した学生の獲得に向けて現代ビジネス学科を開設します。学科内容は、◆現代ビジネスに必要なスキルと知識の習得◆正課の時間内でのライセンス取得のためのセミナー◆ビジネスITとインターネット情報源に特化した実習などのオリジナルな情報教育
 さらに高学年に総合セミナーを配置し、低学年で取得したビジネススキルとライセンスを生かすための、人間性の鍛錬を目指します。新学科に関する詳しい内容は、下記のホームページで。
<参考>http://usi.yokkaichi-u.ac.jp/bl/
9月17日 土屋
『身近なところでも』
 今朝の新聞で四日市市内の主婦が警官を名乗ったおれおれ詐欺で250万円の被害に遭うという記事を見た。先日、実家の母からも「おれおれ詐欺の電話がかかってきた」と聞いていたばかりだ。話を聞いてみると、電話を受けた母は孫の声じゃないとわかると、あろうことかわざわざ新潟に住む甥っ子の名前を出して「もしかして○○くん?」と確認。電話口の向こうではちゃっかり「そう、○○」と名乗ったそうだ。しかし、訛りのない喋り方に別人だと気づき、「○○くんじゃないでしょ!」というと、慌てて切ったため被害に遭わずにすんだ。機転をきかせてうまくだまされたふりをして、犯人逮捕までできれば「お手柄おばあちゃん」として一躍有名になったのにと言うと悔やんでいた。
 最近は複数の犯人が役割分担して警察官や保険会社社員を演じる「劇団型」が横行し、電話もプリペイド式の携帯電話が使われ、ネットで密売されている不正口座が使われるため、検挙は難しいのが実情だという。個人情報の流出も被害拡大の背景にある。普段、犯罪や事件を扱うマスコミは犯人の巧妙な手口や犯行にいたった経緯ばかりをとりあげがちだが、実際に遭遇した時の警察の窓口だとか、どう対処すべきかを詳しくしらせることもマスコミの役目だろう。
9月10日 大久保
『9月早々に…』
 今週は東海道沖や紀伊半島沖などを震源地とする地震が多発し、四日市市でも震度1から4が観測された。いよいよ東南海地震の発生が近いのかと緊張した人も多いだろう。
 非常用持ち出し袋の中身を聞いてみると人それぞれである。被害がどの程度になるのか予測できないので難しいのだろう。災害により住居が全壊または消失し、着の身着のままの場合、半壊してもある程度の生活必需品が取り出せる場合、家屋に被害はないが、電気、ガス、水道が丸一日以上使えない場合など、被害の程度により準備するものが違ってくるのである。しかしながら今回の地震によって物の準備と心の準備ができたことは確かである。
 今月1日ロシア南部・北オセチア共和国で起きた学校占拠事件は多大な犠牲者を出した。わずか人口4万人の小都市では突然の惨劇で墓地の面積が増え続け、真新しい小さな棺にすがる親の映像が涙を誘う。またアメリカ同時多発テロ事件は発生から明日で3年を経過する。テロリストたちによって一瞬にして起こる惨劇は残念ながら後を絶たない。
 自然災害による犠牲とテロや紛争での犠牲では同じように尊い命を落としたとしても「逆らえない自然の猛威」によるものか「人為的に行った」ものなのかでその意味は大きく異なる。私たちは自分や家族の命をできる限り守ろうとささやかな「非常用持ち出し袋」を用意するのである。そこには物や心の準備ができないような人為的な事件の予測は入っていない。来年からは穏やかな9月が迎えられるよう願っている。
9月3日 神保
『大学にできることとは』

 前回のコラムの続きになるが、企業訪問をしていると「大学には、なにができるのか?」と逆に質問をうけることがよくある。そう考えると、これまでは大学からは、学外に対して大学側の有益な情報を提供していなかったのではないかと考えさせられる。仮に情報を提供していたにしても、それは大学側からの一方的な視点からみた情報であり、情報を受け取った側にとっては、ほとんど関心がないことだったのだろう。
 今後、地域貢献事業というメニューを掲げて、それを本当に推進していくならば、実際の世間の流れの方向を読み、分析する努力をおこたらず、地域の皆様のペースに大学のペースをあわせていく姿勢をもち、なおかつ能動的に大学側から地域社会に接する機会をつくっていかないと、本当の地域貢献はままならないのかもしれないと感じている。
 これまでのように大学が学内で地域の要請をじっと待っているだけでは、いくら内容のいい地域貢献メニューを掲げても、本当の地域貢献にはならないのかもしれない。

8月27日 東川
『いよいよ人口が止まる!』
 とうとう人口が停止する。この半年で日本の人口は3万人しか増加しなかった。1億3千万人中の3万人はもはや誤差の範囲とも言える。
 近代化以降、一貫して続いてきた日本の人口増加は終りを告げ、今後、人口と言えば、減少することが大前提となる。
 思えば、少子・高齢化をめぐるターニング・ポイントはすでに幾つかあった。石油ショック直後の1974年、約20年間続いていた安定的な子供の生まれ方が崩れ、合計特殊出生率は人口置き換え水準である約2を割った。今から思えば「少子化元年」である。しかし当時、世の中に「少子化」という言葉さえ生まれなかった。
 次のポイントは1990年。前年(1989年)の合計特殊出生率が1.57であることがわかり、1966年の「ひのえうま」でさえその値は1.58であったことに人々は気づいた。いわゆる「1.57ショック」である。だが、ショックを受けた割に、少子・高齢化への社会の対応の動きは未だ鈍い。
 そして今年から来年にかけては、人口の増加から減少という歴史的なターニング・ポイントだ。これをわれわれは、少子・高齢化に対応した社会への本格的な「転換点」としたい。
8月20日 小林
『防犯対策してますか』
 体感治安という言葉がある。人が肌で感じる治安の良し悪しを表わす主観的な言葉だ。近年この体感治安が、急速に悪化しているという。本当に、客観的に見ても、治安は悪化しているのであろうか。
 警察白書によると、昨年の刑法犯認知件数は2,790,136件。人口10万人当たりの件数(これを犯罪率という)は、2186.6となっている。10年前(1993年)の犯罪率は1441.6だったから、犯罪件数はこの10年で5割以上増えたことになる。客観的データからも、体感されている治安の悪化が、裏付けられた形だ。
 内訳を見ると、自転車・オートバイ等の乗り物盗が全体の約1/4(24.9%)を占めるほか、車上狙いや部品盗が19.2%、住居・事務所等への侵入犯罪関係が13.5%などとなっており、日常、身近な場所でも起こりうるような犯罪が、多いことがわかる。
 残念ながら三重県では、近年、5年間で2倍という全国を上回るペースで犯罪が増加している。かつて全国平均を下回っていた犯罪率も、いまや全国ワースト9位となってしまった。中でも北勢地域の犯罪率は、川越町の4118.3を筆頭に、四日市市が3187.3、桑名市2927.9、鈴鹿市2786.8など、極めて高くなってしまっている。5年ほど前までは5割程度だった県内の犯罪検挙率も、ここ3年間は2割を切るまでに落ち込んでおり、警察の力だけに頼ることには限界がある。
 そうした状況の中で、犯罪を防ぎ、治安の改善を体感できるようにするために、私達は何ができ、何をしなければならないのであろうか。
 8月23日(月)18時からの、FMポートウェイブ(76.8MHz)の特別番組「ラヂオフォーラム」では、小林がコーディネーターを務め、防犯問題を取り上げます。詳しくは、是非、この番組をお聞きください!
8月13日 小谷
『四日市大学フェスティバル開催』
 「地域に開かれた大学」として、第2回四日市大学フェスティバル(雑学祭)を8月22日(日)に開催します。幼児から大人の方まで楽しんでいただけるよう、幅広いテーマを準備しておりますので是非お越しください。
【イベント紹介】 
・講演 立松和平氏(作家)、松木安太郎氏(元J1監督)、北川正恭(客員教授)
・本学教員によるミニ講義(24講義)、映画鑑賞、絵本劇場
・親子教室(絵画、紙ひこうき教室、英会話教室、テニス教室)
・サッカー教室(中高校生)、中学生テニス教室、極真空手道部の演舞
・資格とキャリアアップ講座、パソコンでうちわをつくろう等
すべて無料で受講・鑑賞していただけますが、申込みが必要なものもありますのでお問い合わせください。当日は近鉄富田、四日市駅より無料直通バスを運行しています。お車でお越しいただく方は、大学内の駐車場をご利用ください。
問合せ先  フェスティバル事務局 電話(0593)65-6588・65-6711
8月6日 土屋
『道は未知に満ちている』
 帰省のシーズンが近づき、新聞に夏の渋滞情報の記事が載る。毎年、福島に帰省する私は憂鬱な気持ちでそれを見るというより、その状況下で、いかに快適に走れるか、あたかも挑戦状を受け取ったかのような気分になる。「今年はどのコースで帰ろうか?東名で太平洋を楽しむか、中央道で高原を抜けるか、それとも北陸道で日本海を眺めるか」と心躍る。以前なら12時間かかったところも7時間ほどでいけるようになり、利便性・快適性も格段に良くなった。高速道路のSA・PAにおけるホテル事業やアミューズメント事業など新規事業の展開、マイレージ制度の導入や弾力的な料金設定の実施などJHは夢のある改革を謳っている。身近なところでは四日市市内の赤堀山城線、阿倉川西富田線、小杉52号線の3路線が整備され3月31日から通行が可能となリ、そのおかげで通勤時間の短縮という恩恵にも毎日あずかっている。
 とはいえ道路事業は莫大な費用や時間がかかり、さらに環境破壊という問題もある。JHは民営化を余儀なくされるところであり、高速道路に限らず、北勢バイパス建設予定地における遺跡の問題など、建設には難しい点を多く抱えている。
 8月10日は今から84年前に最初の第1次道路改良計画がスタートしたことを記念して制定された「道の日」である。新しい道の向こうには新しい景色が広がっているのか。その意義や重要性に関心を持つ良い機会だと思う。
7月30日 大久保
『自由研究のように』
 夏休みが始まった。・・・と言っても仕事に就いている大人にはあまり関係のないことかもしれない。7月下旬になると図書館、博物館、映画館などの施設で小学生くらいの親子連れを見かけることが多くなり、ああ今年も夏休みが始まったのだなぁと実感する。
 夏休み中の自由研究の課題は、子供の頃も小学生の親になってからも実に気の重いものだった。あたかも大好きな給食のクリームシチューに入っていた大嫌いなグリンピースのように、さっさと食べ終えてしまいたいが、結局は最後まで残してしまった、という結果に毎年陥るのである。
 今年の自由研究に頭を悩ませているのならば、三重北勢地域地場産業振興センターなどに足を運び、三重県や四日市市が発祥地の産業について調べてみたらいかがだろうか。長く続く産業の歴史、それに関った人物、全国に占めるその産業の割合など調べることは案外多いものだ。
 自分の住んでいる市区町村の産業や歴史というものはおおよそは知っていてもじっくり調べるというところまでにはなかなか至らない。なぜこの地にこの産業が発展したのか、なぜ衰退していくのか。宿題のある子どもと同じように身近な産業について改めて考えてみることで、地域の活性化に必要なものが見えてくるのかもしれない。
7月23日 神保
『四日市大学です。なにかお役に立てることはないでしょうか?』
  地元の企業を訪問させていただき、四日市大学が「地域に開かれた大学」として、地域の産業界に貢献できることはないか等を調査している。
 まだ、はじめたばかりであるが、これまで訪問させていただいたいずれの企業の皆様も、お忙しい時間のなかにもかかわらず、丁寧に応対していただいてとてもありがたく感じている。いまのところ残念ながら、大学に関わる質問については、日常の事業を営むうえでほとんどかかわりがないため、あまり大学には関心をもっていないという答えが多い。とくに文系色の強い四日市大学は、製造業や建築業にとっては馴染みのない大学である。
  しかしながら、ある企業で、「今回の訪問のように、大学の方から話を聞きにきてくれたことにより、今後は四日市大学に関心をもち、身近なものとして感じることができる」と評価していだいた。しかし「この調査から得られた情報をもとにして大学として少しでも地域産業界の為に、なにか役立てる企画が検討されることと、今回のみの一過性なものでなく、継続した活動となることを期待している。」とも付け加えられ、改めて身の引き締まる思いがした。
7月16日 東川
『確かにそうだが…』
 学生による授業評価が今年も行われており、その結果について興味深いことがある。
 評価項目として『授業開始時間は、どうでしたか?』という質問があり、その回答選択肢として『1.いつも時間通りに開始された。2.ほぼ時間通りに開始された。3.時々遅れることがあった。4.ほとんどいつも遅れて始まった。』の4つが設けられている。
私は研究室で授業開始のチャイムを聞き、同じ階の教室に向かうので、開始まで30秒ほどかかるのだが、その場合、この選択肢のどれに当てはまるのだろうか?
 昨年までは例年、最も厳しい評価として「時々遅れることがあった。」を選ぶ学生が1名いるかいないかであったが、今年は「時々遅れることがあった。」が数人おり、「ほとんどいつも遅れて始まった。」とする者も2、3人いる。
 確かにその通りなのだが、世の中は確実に、より世知辛くなってきているようだ。私も言いたい。「そっちも遅刻しないでほしい(笑)」と。
7月7日 小林
『そうだ、選挙へ行こう!』
  参議院は、しばしば「衆議院のカーボンコピー」などと揶揄される。衆議院との違いがわからない、「良識の府」としての存在感が無い、との批判である。そしてそれゆえに、参議院など無用だとの論も耳にする。
  だが、現に参議院は存在している。存在している以上、それなりの影響力もある。仮に無用であるとしても、決して無力ではない。
  衆議院で可決された法案は、参議院で否決された場合、衆議院で2/3以上の賛成で再可決されなければ法律にならない。そこで政府・与党としては、円滑な政権運営のために参議院でも過半数の確保を目指すことになるし、参議院議員選挙で大敗した首相は、政権を維持・運営していくことが困難になる。
  89年の宇野首相から海部首相への交代も、98年の橋本首相から小渕首相への交代も、参議院議員選挙での与党の敗北が原因になっている。参議院が、「政局の府」としての影響力を持っていることは、間違いない。
  7月11日は、第20回参議院議員通常選挙の投票日だ。年金、景気、地方分権、教育、憲法など、様々な争点がある中で、与野党、いずれに1票を投ずるのか。参議院無用論を言い訳にして棄権するのではなく、1人でも多くの方に投票に行っていただきたいと思う。
7月1日 小谷
『ふと寂しく思うこと』
 先日、四日市の駅周辺を久しぶりに歩き、人の少なさにふと寂しさを感じた。子供のころ、よく母親に買い物に連れられてジャスコで昼食を食べた思い出がある。そのころの賑わいに比べ、今の四日市の駅前は大型駐車場を配備したスーパーの郊外進出に加え、駅周辺のジャスコ、松坂屋、映画館等の相次ぐ撤退でとても人通りが少なくなっている。夜間の人通りも同じく、クラブの学生を連れてコンパで訪れると数年前の状況とのかなりの違いに驚きを感じる。
 だが、松坂屋の跡地には大手スーパーの出店も決まり、現在急ピッチで改修工事が行われ、さらには国土交通省の都市再生の幅広い展開に資するため実施される「全国都市再生モデル調査」に四日市市の「街なか居住環境整備」が選ばれた。四日市港、東名阪国道、伊勢湾岸道路(後に第二東名高速道路)鉄道等の交通網も整備されており、関東、関西の重要な中継都市でもある四日市。来年2月に予定される楠町との合併や、その後に目指される中核市への移行を機して、今後、四日市市が活性化していくことに期待していきたい。
6月25日 土屋
『日傘の花が咲く』
 先日、浜名湖花博に出かけた。名画「睡蓮」のモチーフとなったモネの庭と家を再現した「花の美術館」は人気が高く、正面ゲートから一番奥に位置するにもかかわらず、開園まもなく多くの人でいっぱいになった。花がテーマとあって来場者の年齢層は50代女性とそれに付随する(!?)男性の割合が目立って多く、しかも全期間入場券を使って何度も訪れる人も多いようだ。開催側のねらいどおりかどうかはわからないが、時間にも体力にも余裕のある年齢層をターゲットにするのは正解だ。ただパビリオンに関しては、目新しいものはなく、テーマとのつながりが希薄と感じるところもあった。
 地方博覧会は利用しやすい地域振興策だが、成功したか否かは単純に入場者数や事業収支だけで評価されがちだ。開催後の施設が有効に利用されているか、地域アイデンティティの確立に役立ったかなど、むしろ、後からの評価が重要だ。
6月18日 大久保
『言葉の理解と相手の理解』
 長崎県佐世保市の小六同級生殺害事件はホームページの掲示板での言葉のやりとりがきっかけとみられている。そうしたことからネット上での書き込みや携帯電話のメールの是非について論じられることが多くなった。
 以前勤めていた職場の上司は、大事なことはメールではなく電話にしろ、時間があれば直接会って伝えろと常々言っていた。この場合の大事なことというのは人間関係の絡むような話である。この上司はものを書いて出版することを職業としていた。書くことを専門としている人だからこそ書き言葉だけの伝達の難しさを日々痛感していたのだろう。
 書き言葉の難しいところは、同じ言葉でも発信者と受信者の受け止め方が違うということと書き手の意思が相手にはっきり伝わらないというところにある。これに声の抑揚が加わればある程度のニュアンスは伝わるし、直接顔を見て話し合えばその表情から相手の意図することが大部分理解できるのである。
 だが会って話が出来る間柄なら元々誤解を生む可能性は低い。直接会えない、または会いたくない気持が先立ち、またそれまでに人間関係を構築する充分な時間がなかった場合は言葉以前に相手のことをよく理解していないのである。日常の忙しさの中で便利な機能を使いながらも他人を理解する気持を持っていたいと思う。
6月11日 神保
『地域の立役者』
 先日、鈴鹿市のNTT跡地利用構想についての住民説明会に参加した。以前に市町村合併に関する住民説明会に参加したときと同様、参加人数の少なさが気になった。さらに言うと、その中でも若い人や女性がとても少ない。
  平成15年度国土交通白書では地域づくりにおける女性や高齢者、子供の果たす役割の重要性を説いている。「地域で時間を過ごすことが多く、地域に密着した立場の女性や高齢者、また、将来の地域の担い手である子供の意見を反映させ、活躍してもらうことは地域づくりの成功への大きな要素の一つである」と。さらに「消費者の視点からの地域づくりや、地域の歴史・伝統を反映した地域づくりを進める観点からも、女性や高齢者、子供の参加は重要である」とも言っている。
  まちづくりには「3つの者」が必要だということも聞いたことがある。その3つは「ヨソ者・馬鹿者・若者」だそうだ。ヨソ者の「新しい視点」と馬鹿者の「単純さ」、若者の「情熱」が必要だと。行政が住民参加・住民中心の地域づくりの触媒としての役割を担っていくことの重要性はもちろんだが、主体的な参加をするための住民の責務というのも大きい。かくいう私もこの研究所に来るまでは、自分の住む地域について、ほとんど興味がない一人であったが…
6月4日 東川
『これから起こることは実は簡単』
 少子・高齢化の進行について、絶望感を抱いている者も多い。何がどうなるのか不透明なことから生ずる不安だ。
 そこで今回は、少子・高齢化をなるべく簡潔に説明してみる。
 少子・高齢化とは、「人口の中で働かない人の割合が高まる」事に他ならない。それならば、現在働いていない人達に働いていただければ良い。
 現在は65歳以上が高齢者だが、現在「前期高齢者」と呼ばれる65歳から74歳までの人達に働いていただくと、2050年に至っても75歳以上の方による「新」高齢化率は21.5%で、これは今年の予想高齢化率19.4%と大差ない。さらに、現在、女性の労働力率は62%だが、女性全員に働いていただくことも考えれば、現在の生活水準を落とす必要がない事は、おのずとわかる。
5月28日 土屋
『壁に窓』
  養老孟司氏著の「バカの壁」では、話が通じないとき、分かり合えないときは、脳の中で情報を遮断しているもの、すなわち「バカの壁」があるという。
  「壁」と聞いて何を思い出すだろう。私は「ベルリンの壁」や「言葉の壁」、バリアフリーという言葉から浮かぶ「取り除かねばならない障壁」だ。
  しかし、眼に見えない個人の脳の中の壁は、高くつくろうが多くつくろうが自由であるし、制限するものでも出来るものでもない。さらに言えば、けじめやモラルとしての壁、独自の世界を構築するため、譲れない領域としてのアイデンティティーを確立するためには壁は必要不可欠なものだともいえる。建造物として考えた場合でも、壁は多くなればそれだけ強度が増すし、逆に壁が無くては恥ずかしくて住むことができない。
  だが、壁の数がふえるだけ、狭さを感じ、高ければ高いほど他を隔絶するものとなり、ましてや密室ともなれば健康を害するというのも事実だ。採光や換気という点を考えれば、風通しのいい窓、光の入る窓があってはじめて壁が活きてくる。脳の中の「壁」も、「窓」から外の景色を眺め、季節の風を感じることによって、自分が意識する社会の中に、健康な我が身を置くための役目を果たす。
  パラダイムシフトの重要性が唱えられている昨今、あらゆる既存の「壁」はとりはらうべきか、もしくは「窓」をつけるのかなどと、ひととき思いをはせるのもまた、おもしろい。
5月21日 小林
『感覚はあてにならない』
 5月7日付の本コラム(大久保執筆)を読んで「あれっ?」と思った。「国旗掲揚に対して議論する必要もなくなってきた」かどうかはともかくとしても、「卒業式で君が代斉唱をすることも減ってきた」との指摘は、事実とは異なるのではないかと感じたからだ。
  だが、感覚はあてにはならない。実際はどうなのか? 疑問を覚えたら調べるに限る。早速インターネットで調べてみた。公立小・中・高等学校における卒業式での君が代斉唱の実施状況などについては、文部科学省(2001年1月までは文部省)が毎年調査し、公表している
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/shotou.htm参照)。
  これによれば、データが載っている1997年度以降、実施率は年々高まっており、2002年度末の卒業式(最新データ)では、小・中・高等学校ともに99%台後半の実施率となっている。その背景としては、1999年2月末の広島県立世羅高校の校長自殺を契機に同年夏に制定・施行された「国旗国歌法」や、文部科学省の強力な指導の下、君が代斉唱などの取扱いを理由に教員を懲戒処分してきた各地の教育委員会の取組みなどが指摘できようが、理由はともあれ、卒業式で君が代斉唱をすることは、着実に増えてきているようだ。
  このように調べてみて改めて感じたことだが、私たちの感覚や知識は、結構あやふやな点も多い。今後、講演や執筆などの際には、感覚や知識だけに頼り過ぎないようにしようと、これを機にスタッフ一同、気を引き締め直した次第である。
5月14日 小谷
『四日市大学地域トリニティー開設』
  本大学は、「地域に開かれた大学」として、地域の活性化、文化や産業の発展に貢献するため、平成13年4月に四日市大学地域政策研究所を開設いたしました。
 さらなる地域貢献事業の推進のため、このたび、近鉄四日市駅に隣接する三重北勢地域地場産業振興センター(じばさん三重)3Fに、産官学連携サテライト「四日市大学地域トリニティー」を開設し、5月10日に開所式を行いました。
 四日市大学地域トリニティーの主な業務内容は以下のとおりとなっています。
●四日市大学の情報提供業務(教員の研究業績、研究成果)
●産業界との連携業務(四日市大学産学同友会の窓口業務を基本とした、産業界のニーズの集約・相談)
●ステークホルダー会議の開催(企業、NPO、行政、研究者等の会議運営)

四日市市安島1丁目3-18
三重北勢地域地場産業振興センター 3F
TEL・FAX 0593-56-2700 E-mail: yujo@sepia.ocn.ne.jp
5月7日 大久保
『こどもの日に見た国旗』
 5月の連休中にある観光地に行った。観光地近くの住宅街を歩いていると一般の家からたくさんの国旗が揚がっているのが目に付いた。よく見ると各戸の玄関先には国旗を差し込むための金具が取り付けてある。その光景を眺めながら自分が子供の頃に祝日になると隣近所の家で国旗を揚げていたことを思い出した。自分の家でも父が祝日の朝に必ず国旗を用意していた。
 この習慣もだんだん少なくなり、運動会でも国旗掲揚を行わない小学校が増え、卒業式で君が代斉唱をすることも減ってきた。国に対する個々の思想の違いから、最近では国旗掲揚に対して議論する必要もなくなってきたように感じる。
 ただ、5月5日のこどもの日に初夏の風に翻る鯉のぼりとともに見た国旗には、我が子に元気に成長してもらいたいという親の願いがその日を祝う気持ちとして表れていた。ますます少子化に向かう現在、その気持ちを大切にしていきたい。
4月30日 神保
『ぜひ行ってみたい温泉地』
  先月、名古屋市栄の百貨店前にて「御在所・湯の山温泉」に関するアンケートを行った。その設問で、湯の山温泉を含む中部圏の温泉地8ヶ所の認知度を調査する項目があった。137人に聞き取りした結果、下呂温泉について「知っている」と回答した人は134人、「一度は訪れたことがある」と回答した人は122人、となり、いずれも調査地の中でトップであった。一方、湯の山温泉は132人が「知っている」と回答し、下呂温泉にも優るとも劣らない認知度があるにもかかわらず、過去に訪れた人は94人にとどまった。
  確かに、観光スポット数、宿泊施設数、PR度の点においては下呂温泉の方が優っているようだが、名古屋からの距離・ロープウェイ・渓谷美など誇れるものが数多くある。
  知っているというだけでなく「ぜひ行ってみたい温泉地」と称されるには、今ある特色をさらに活かし、差別化を図り、ここならではという独自性を持たせることだ。
  「訪れたことがある」という122人と94人、この28人の差(割合にして100人に20人の差)は大きい。
4月23日 東川
『あなたの「ワード」はすでに人工知能になっている!?』
 同僚に言わせれば当たり前の事らしいが、無知な私は先日、たまたま教えられて本当に驚いたことがある。世界中で多くの人が使っているパソコンソフトの『マイクロソフト・ワード』には「要約機能」があり、大げさでなく瞬時に元原稿が要約されるのだ。要約文の指定も、文の数や語数で、その分量も元原稿の1%から99%まで1%刻みでその「要約度」を指定できる。人類の夢であった人工知能は実はすでに実現していたらしい。
 そこでさっそく、無謀にも日本国憲法を「要約」してみた。その結果、たとえば憲法第9条は要約度82%、つまり約2割縮小で一部消えはじめ、79%で「国の交戦権は、これを認めない。」のみになり、53%まで「要約」すると完全に消えた。つまり、憲法を半分の長さに要約する場合、第9条は必要がないということになる。これをどう考えるかは人それぞれだが…。これもマイクロソフト社の価値観に沿った世界規模の文化戦略の一環かもしれぬ(笑)。いずれにせよ、コンピューターへの盲信がはらむ危険性はここにもある。
4月16日 小林
『宇治茶と伊勢茶・水沢茶』
  本年3月19日付の当コラム(岩谷執筆)では、四日市の水沢茶が京都の超有名老舗旅館で宿泊客に供されていることを、紹介している。水沢茶は、その旅館の名声に見合った、高い品質を持つお茶である。
  三重県は、静岡県、鹿児島県に次ぐ全国第3位のお茶の産地である。年間約7,000tの荒茶生産量があり、その1/3程が、水沢地区など四日市市内で生産されている。だが県外では、三重県が、そして四日市が、お茶の産地であることは、ほとんど知られていない。
  京都府のお茶の生産・製造団体でつくる府茶業会議所では、京都・奈良・滋賀・三重の4府県産の茶を府内業者が府内で仕上げ加工したものを「宇治茶」と定義している。三重県産の茶葉の多くは、宇治茶などに化けてしまっているのだ。
  一方で、現在、県内で生産される茶葉のうち、三重県産であることを示す「伊勢茶」のブランド名で販売されている割合は、2割を切るという。伊勢茶のブランド力を、高い品質に見合った宇治茶に負けないレベルに高めるための積極的な宣伝戦略を打つとともに、県内での加工体制を整備していくことが、頭打ち状態にある県内茶業の活性化には不可欠だと考えるのだが、如何だろうか。
4月9日 小谷
『人事異動・・・はじめまして』
 4月は、大学にとって新入生を迎える時期で、本学も入学式を済ませた1年生が加わり講義前の新学期を迎えるにあたってのオリエンテーションの真最中です。講義履修の仕方、クラブ勧誘等々でキャンパスも活気が満ちています。
 私は、今回の人事異動で四日市大学地域政策研究所の事務となり配属させて頂きました。今までの業務とは異なり、地域との連携業務や生涯教育、産官学連携等々の業務となり初めての経験となりますけど私は、四日市で生まれ、四日市で育ち、40数年暮らした四日市の街をこの地域政策研究所で地元の方々と一緒に考えていきたいと思います。
四日市大学は、地域貢献活動等をさらに進めていくために4月の中旬頃より、三重北勢地域地場産業振興センター(じばさん三重)にて、産官学連携サテライトとして四日市大学トリニティーを開設いたしますので今後とも宜しくお願いいたします。
4月6日 土屋
『観光客が求めるもの』
 オーストラリアの北東に位置するケアンズを訪れました。人口約13万人、車で少し郊外に出ると、さとうきび畑が広がり、その栽培と金の採掘が昔は主な産業でしたが、変わって今は観光がメインとなっている街です。しかし、街の中は徒歩でひとまわりできるほどで、物価も安いとはいえず、ホテル周辺の店舗がいくつか空き家になっているところを見ると、観光で楽に潤えるとはいえないようです。対照的にグレートバリアリーフへの船が出る港には早朝から大勢の観光客が集まっていました。私もそこからグリーン島へ行きましたが、今まで見た海の中で一番綺麗だったことを思うと、観光客数の心配をするのは杞憂なのかもしれません。
 ただ、帰国後強く心に残っていたのは美しい景色はもちろんですが、それ以上にケアンズを案内してくれた現地ガイドの方、駅前のデパートで『日本人にとっては、高いよ』と話し掛けてきた見知らぬ人、ホテル横のコンビニのレジの女性との会話でした。
 先日の湯の山のモニタリング調査の時にいただいた「その土地の人との触れ合いが欲しい」という意見を思い出しました。ひとりひとりのもてなす心が、観光地の印象につながるということを再確認した旅ともなりました。